結論から言いますと、制度趣旨・根拠条文・法的地位がまったく異なります。
実務上も混同しやすいので、条文構造で整理します。

① 特別縁故者
民法第958条の3
◆ 制度趣旨
相続人がいない場合に、被相続人と特別の関係にあった者に財産を分与する制度。
◆ 要件
- 相続人不存在が確定していること
- 家庭裁判所に申立て
- 「特別の縁故」があること
典型例
- 内縁配偶者
- 長年介護していた親族でない者
- 事実上の養子同然の者
◆ 法的性質
- 相続人ではない
- 家裁の裁量による「財産分与」
- 申立期間あり(相続財産清算人公告後3か月以内)
◆ ポイント
あくまで「相続人が誰もいない」ことが前提。
② 特別寄与者
民法第1050条
◆ 制度趣旨
相続人ではない親族が、無償で療養看護等を行い財産の維持増加に貢献した場合に金銭請求を認める制度(2019年改正)。
◆ 要件
- 相続人ではない「親族」
- 無償で
- 療養看護その他の労務提供
- 財産の維持又は増加に特別の寄与
◆ 法的性質
- 相続人に対する「金銭請求権」
- 相続分とは無関係
- 協議または家庭裁判所調停・審判
- 原則として相続開始および相続人を知った時から6か月以内
◆ ポイント
相続人が存在することが前提。
③ 両者の決定的違い(比較表)
| 項目 | 特別縁故者 | 特別寄与者 |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 958条の3 | 1050条 |
| 相続人の有無 | いない | いる |
| 対象者 | 縁故ある者(親族でなくても可) | 相続人でない親族 |
| 内容 | 財産の分与 | 金銭請求 |
| 裁判所関与 | 必須 | 協議可(不調なら家裁) |
| 制度性格 | 相続財産の帰属処理 | 寄与の清算 |
④ 実務での誤解ポイント
- 内縁配偶者は
→ 相続人がいなければ「特別縁故者」
→ 相続人がいれば「特別寄与者」になれる可能性あり(親族要件注意) - 介護していた長男の妻
→ 相続人がいる場合は特別寄与者になり得る典型例
⑤ 実務上の整理軸
- 相続人がいるか?
- 親族か?
- 財産をもらうのか、金銭請求か?
この3点で瞬時に分類できます。
相続でお困りごとあれば是非ご相談くださいね。

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