空き家を相続した場合、「相続放棄するべきか、それとも相続して売却・活用するべきか」

相続
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行政書士 辻澤孝文事務所

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空き家を相続した場合、「相続放棄するべきか、それとも相続して売却・活用するべきか」は、空き家だけでなく、預貯金・土地・借金など相続財産全体を見て判断することが重要です。

私共、行政書士として相談を受ける場合は、次のような判断基準で、お客様にも説明します。

1.まず「空き家だけを相続放棄」はできない

相続放棄をすると、空き家だけを放棄するのではなく、原則として被相続人の財産に関する権利・義務をまとめて相続しないことになります。

例えば、

  • 預貯金1,000万円
  • 空き家・土地500万円
  • その他の財産200万円
  • 借金300万円

という場合に、「空き家だけ要らないから放棄する」ということはできません。

したがって、「空き家の価値」だけで相続放棄を判断しないことが重要です。


2.判断基準① 空き家の「資産価値」を調べる

最初に確認したいのが、

「この空き家と土地は、売ればいくらになるのか?」

です。

例えば、

相続する方向になりやすいケース

  • 駅から近い
  • 市街地にある
  • 土地の需要がある
  • 建物を解体しても土地が売れそう
  • リフォームすれば賃貸できる
  • 接道条件に問題がない
  • 再建築可能な土地である

このような場合は、空き家を相続して売却することで、処分費用を差し引いても利益が残る可能性があります。

逆に、

  • 山間部
  • 過疎地域
  • 接道していない
  • 再建築できない
  • 土地が狭すぎる
  • 建物が著しく老朽化している

などの場合は、売却そのものが難しくなるため、慎重な判断が必要です。


3.判断基準② 解体費・維持管理費を計算する

空き家の場合、「売れる金額」だけを見るのは危険です。

例えば、

土地・建物の査定額 300万円
解体費       200万円
残置物処分費     50万円
仲介手数料等     20万円

→ 手元に残る金額は約30万円

ということもあります。

さらに、売却までの間、

  • 固定資産税
  • 火災保険
  • 草刈り
  • 庭木の剪定
  • 建物の修繕
  • 防犯対策
  • 空き家の見回り

などの費用が発生します。

したがって、

「売却価格-解体費-処分費-維持管理費-売却諸費用」

という考え方で判断することが大切です。


4.判断基準③ 他の相続財産・借金を確認する

これは非常に重要です。

空き家が500万円の価値だったとしても、

  • 預貯金1,000万円
  • 株式500万円
  • 空き家500万円
  • 借金100万円

なら、相続放棄をする必要性は低いでしょう。

一方、

  • 空き家はほとんど価値がない
  • 多額の借金がある
  • 保証債務がある
  • その他の財産もほとんどない

という場合には、相続放棄を検討する意味が大きくなります。

したがって、相続財産調査をしたうえで判断するのが基本です。


5.判断基準④ 空き家の管理責任を考える

「相続放棄すれば空き家の問題から完全に解放される」と考えるのは注意が必要です。

現在の民法940条1項では、相続放棄をした者でも、放棄時に相続財産を現に占有している場合には、相続人または相続財産清算人に引き渡すまで、その財産を保存する義務があります。国土交通省も空き家についてこの点を明確にしています。

つまり、

「相続放棄したから、実家が倒壊しても一切関係ない」

とは必ずしも言えません。

この点は、お客様に相続放棄を説明する際には必ず伝えておきたいところです。


6.判断基準⑤ 相続放棄には期間制限がある

相続放棄は、原則として、

「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」

に家庭裁判所へ申述する必要があります。

したがって、

「とりあえず3か月考えて、空き家が売れそうなら相続する」

というように、何もせず放置するのは危険です。

相続財産の調査に時間がかかる場合には、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立てる方法もあります。


7.「相続してから国に引き取ってもらう」という方法もある

現在は、相続放棄以外に相続土地国庫帰属制度があります。

これは、相続や遺贈によって取得した土地について、一定の要件を満たせば、法務大臣の承認を受けて土地を国庫に帰属させる制度です。

ただし、ここが重要です。

建物がある土地は原則として対象外

相続土地国庫帰属制度では、建物が存在する土地は申請できません。法務省も「建物がある土地」は却下事由として明示しています。

したがって、

「古い空き家付き土地をそのまま国に引き取ってもらう」

という制度ではありません。

空き家を解体して更地にしたうえで、その他の要件を満たすかを検討することになります。


8.実務上は「4つの選択肢」で比較すると分かりやすい

次の4つに整理するとわかりやすいです。

選択肢向いているケース
① 相続して売却売却できる見込みがある
② 相続して活用賃貸・自宅・事業利用などの可能性がある
③ 相続して解体・土地処分建物は不要だが土地に価値がある
④ 相続放棄借金等を含め、相続するメリットが乏しい

そして、相続して土地を取得した後であれば、一定の要件のもとで相続土地国庫帰属制度を検討する余地もあります。ただし、建物付きでは申請できず、境界や担保権、管理・処分に過分な費用・労力がかかる土地などにも制限があります。


行政書士としての相談業務

「空き家を相続放棄するか迷っている方へ」

  1. 相続人の確認
  2. 相続財産・債務の調査
  3. 空き家・土地の現状確認
  4. 固定資産税評価額の確認
  5. 売却可能性の確認
  6. 解体・残置物処分費の確認
  7. 相続放棄の期限確認
  8. 相続する場合の売却・活用方法の検討
  9. 相続土地国庫帰属制度の利用可能性の確認
  10. 必要に応じて司法書士・税理士・不動産業者・解体業者等へ連携

単なる「相続放棄の手続き」ではなく、「空き家を相続するかどうかの総合的な判断サポート」としてご相談に応じます。

なお、相続放棄そのものの申述代理は司法書士・弁護士の業務領域に関係しますので、行政書士としては、相続財産の調査・資料整理・相続人調査・空き家問題の整理・他士業や不動産業者への連携を行います。

相続手続きでお困りの方は是非ご相談ください。

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