これは令和8年(2026年)4月1日から始まった新しい不動産登記制度です。相続業務を扱う行政書士にとっても重要な制度です。

1.どのような制度か
これまでは、土地や建物の所有権登記名義人が亡くなっても、相続登記をしない限り、登記簿を見ただけではその人が死亡していることは原則として分かりませんでした。
そこで令和8年4月1日から、法務局が公的機関から死亡情報を取得し、必要な確認をした場合、登記記録上の所有権登記名義人について、死亡を示す符号(◇)を表示する制度が始まりました。法務省
イメージとしては、
所有者 山田太郎
住所 大阪市○○区……
◇
というように、所有権登記名義人の死亡を示す符号が表示されるものです。
2.「◇」が付いても相続登記をしたことにはならない
ここが非常に重要です。
死亡の符号が表示されただけでは、相続登記が完了したわけではありません。
例えば、
- 父親が不動産を所有
- 父親が死亡
- 相続登記をしていない
- 法務局が死亡情報を把握
- 登記記録に「◇」が表示
となったとしても、登記名義人が自動的に子どもの名前に変更されるわけではありません。
したがって、その後、
遺言による相続登記、遺産分割による相続登記、法定相続分による相続登記など
を行う必要があります。相続登記そのものは、原則として、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があります。法務省
3.どうやって法務局が死亡を知るのか
基本的には、法務局が取得した公的な死亡情報を利用します。
特に、住所等変更登記のための仕組みの中で住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)に照会し、死亡・失踪宣告を把握した場合、戸籍の確認など必要な確認をした上で符号を表示する仕組みです。法務省
また、法務局が別の登記手続の審査などをしている際に、提出された戸籍謄本等から所有権登記名義人の死亡を確認した場合にも、符号が表示されることがあります。法務省
4.行政書士の相続業務との関係
例えば、相続人から
「亡くなった父親の土地を相続することになりました。どんな手続が必要ですか?」
と相談を受けた場合、登記事項証明書を確認すると、所有者のところに**死亡を示す符号「◇」**が表示されている可能性があります。
ただし、行政書士は相続登記そのものを代理申請することはできません。不動産の相続登記申請は司法書士・弁護士等の業務になります。
そのため行政書士としては、
① 戸籍収集
↓
② 相続人調査
↓
③ 相続関係説明図・法定相続情報一覧図の作成支援
↓
④ 遺産分割協議書の作成
↓
⑤ 必要に応じて司法書士へ相続登記を連携
という流れを作ることができます。
特に、「登記簿上の所有者が亡くなっていることを確認する」→「相続人を確定する」→「遺産分割協議書を作成する」という相続業務につながりやすくなります。
5.「◇」が表示される不動産を調べるときの注意
この制度は便利ですが、「◇がない=所有者が生きている」とは限りません。
あくまで法務局が死亡情報を把握し、所定の確認をした場合に表示されるものです。
したがって、相続案件では従来どおり、
- 戸籍・除籍謄本
- 被相続人の死亡の記載
- 相続人の戸籍
- 遺言書
- 遺産分割協議書
などによって相続関係を確認することが必要です。
6.令和8年10月現在で特に注意したい点
法務省の現在の案内では、令和8年10月13日以降にされた登記申請・嘱託の審査過程で、添付された戸籍謄本等から所有権登記名義人の死亡・失踪宣告を登記官が確認した場合にも、符号表示が行われることがあります。法務省
また、令和8年12月下旬以降は、「スマート変更登記」の手続の過程で死亡等を把握した場合にも符号表示が行われる予定です。法務省
つまり、今後は登記簿を見ることで、
「この不動産の登記名義人は既に亡くなっている可能性が高い」
という情報を以前より容易に把握できるようになります。
相続でお悩みの方は是非ご相談ください。

↓
「行政書士辻澤孝文事務所」ホームページ


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