遺産分割を行わずに相続を放置した場合、法律上は「相続人全員の共有状態」が継続します。
実務上は様々な問題が発生します。
以下、体系的に整理します。

① 法律上の状態(遺産分割未了)
被相続人死亡時点で、
👉 相続財産は当然に相続人全員の共有(準共有)
となります。
- 不動産 → 法定相続分で共有
- 預金 → 払戻し制限あり(原則共同手続)
- 株式・動産 → 共有
つまり、
誰のものにも確定していない状態
が続きます。
② 放置した場合に起こる主な問題
1️⃣ 不動産が動かせない
共有状態では、
- 売却
- 担保設定
- 建替え
- 活用
などは原則として
👉 共有者全員の同意
が必要になります。
相続人の一人でも反対・連絡不能になると完全停止します。
2️⃣ 相続人が増殖する(最も深刻)
放置中に相続人が死亡すると、
その持分がさらに相続されます。
例:
父死亡(子3人)
↓
長男死亡(子2人)
↓
共有者5人に増加
これが繰り返されると、
👉 数十人共有(いわゆる「塩漬け相続」)
になります。
実務では非常に多い問題です。
3️⃣ 登記ができなくなる・困難化
令和6年4月開始の
👉 相続登記義務化
により、
- 相続を知った日から3年以内
- 正当理由なく未登記
の場合、
10万円以下の過料対象となります。
放置は行政リスクになります。
4️⃣ 管理責任・費用負担が不明確
固定資産税・管理費などは、
法律上は
👉 相続人全員の負担
となります。
よくある紛争:
- 住んでいる人だけ払っている
- 誰も払わない
- 立替金請求問題
5️⃣ 時間経過で解決不能になる
放置すると次の問題が発生します。
- 戸籍収集が極端に困難
- 行方不明相続人
- 外国在住相続人
- 認知症発生 → 成年後見必要
結果:
👉 遺産分割費用が数十倍になる
③ では自動的に確定するのか?
結論:
❌ 長期間放置しても自動確定しません
遺産分割は
- 協議
- 調停
- 審判
のいずれかが必要です。
④ 例外的に変化する制度(重要)
■ 特別受益・寄与分の主張制限(民法改正)
相続開始から
👉 10年経過後
は原則として、
- 特別受益
- 寄与分
の主張ができなくなります。
つまり、
法定相続分に近い分割へ固定化
されていきます。
(2023年改正の実務重要点)
⑤ 結論から申し上げますと
遺産分割をしないと問題は解決せず、時間が経つほど相続人と手続が増えて解決が難しくなります。
⑥ 実務的な対処(放置案件)
優先順位:
- 相続人調査(戸籍確定)
- 法定相続情報一覧図作成
- 相続登記(申告登記でも可)
- 遺産分割協議を実施
※まず登記だけ済ませるケースが急増しています。
相続についてお困りごと、どうぞお気軽にご相談ください。

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