後見制度支援預金・後見制度支援信託とは

成年後見

後見制度支援預金・後見制度支援信託とは

後見制度支援預金・後見制度支援信託は、成年後見制度の利用者(被後見人等)の財産を保護し、後見人による不適切な支出や横領などのリスクを防ぐため、家庭裁判所の指示に基づき金融機関が管理する仕組みです。特に、親族が後見人に選任される場合、裁判所は財産管理の透明性確保のためにこの制度の利用を強く求める傾向があります。

1. 後見制度支援預金とは

家庭裁判所の指示書をもとに、指定の金融機関に「後見制度支援預金」を設定し、大きな財産の出し入れを裁判所の許可制にする仕組みです。
預金の払い戻しには「家庭裁判所の指示書」が必要となり、後見人が単独で引き出すことはできません。一方、日常の生活費などは後見人が管理する通常口座で支出できるため、「大きな財産は保護」「日常支出は柔軟」というバランスが取れています。

2. 後見制度支援信託

後見制度支援信託は、預金よりもさらに厳格な管理制度です。まとまった財産を信託銀行などに預け、必要な分だけ計画的に払い戻す仕組みとして利用されます。
払い戻しには「後見人の申立て」と「家庭裁判所の指示」が必要であり、本人の財産が長期間安定して保護される効果があります。特に数千万円規模の資産があるケースや、本人の金銭管理能力が低い場合に導入されることが多いです。

3. 裁判所が求める場面

家庭裁判所は以下のようなケースで後見制度支援預金・信託を指示する傾向にあります。

本人に数百万円以上の預貯金がある

親族が後見人に就任する

本人の判断能力が大きく低下し、財産侵害の危険がある

将来の入院費・施設費に備えて財産を確実に保護する必要がある

制度の目的は「後見人の負担を増やすため」ではなく、「本人の財産を守る」ことにあり、後見人自身も安心して財産管理ができるというメリットがあります。

■行政書士としてできること

行政書士は成年後見制度の申立書作成、手続サポート、関係機関との調整を行うことができます。後見制度支援預金・信託においては、以下のような支援が可能です。

1. 後見開始申立書の作成

後見制度支援預金・信託は、後見開始後に裁判所が判断します。そのため、申立ての段階で本人の財産内容を正確に整理した資料作成は非常に重要です。
行政書士は下記資料の作成が可能です。

後見開始申立書一式

財産目録・収支予定表

親族関係説明図

必要添付書類の収集サポート(戸籍・評価証明等)

後見人候補が親族の場合は、裁判所が後見制度支援預金を求める可能性があるため、申立段階でその旨を踏まえた資料整理を行います。

2. 家庭裁判所との調整サポート

裁判所から「後見制度支援預金(または信託)を利用してください」と指示があった場合、後見人(多くは親族)はどのように準備すればよいのか戸惑うことが多いです。
行政書士は下記のような実務的支援を行えます。

指示書の内容説明

金融機関での手続き流れの整理

必要書類の案内

裁判所との照会文書の作成支援

特に金融機関とのやり取りは専門用語が多く、後見人が単独で進めるのは負担が大きいため、実務を理解した専門家の支援が効果的です。

3. 後見人の財産管理の実務サポート

行政書士は後見人の財産管理に関する帳簿記録や書類整備のアドバイスができます。

通帳の区分整理

支出記録の作成方法

裁判所提出用の報告書作成サポート

信託・預金の払い戻し申立書の文案作成支援

後見制度支援預金は「大きな支出があるときだけ指示書を申立てる」という仕組みのため、記録が曖昧だと手続がスムーズに進みません。行政書士は定期的な書類整備を後見人へ助言できます。

4. 本人の生活支援に関する書類作成

後見制度は財産管理に限らず、本人の生活支援も重要です。行政書士は以下の書類作成を通じて後見業務を支えることが可能です。

施設入所契約の内容整理

医療・介護サービスの申込書の代理記載

本人の生活計画書の作成支援

支出計画案の作成

これらの書類を整備することで、裁判所への報告もスムーズになり、後見制度支援預金・信託の運用も適切に行えます。

■まとめ

後見制度支援預金・後見制度支援信託は、成年後見制度を安全に運用するための重要な財産保護制度です。特に親族後見人が就任する場合、裁判所は透明性確保のために利用を求める傾向があります。

行政書士は、申立書作成から運用開始後の書類整備、裁判所・金融機関との調整まで一貫してサポートでき、後見人の負担軽減に大きく寄与できます。
後見制度に不慣れな親族後見人にとって、行政書士の関与は制度運用の安心につながるといえるでしょう。

是非ご相談ください。

行政書士辻澤孝文事務所」ホームページ

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