一人親方が建設業許可を取得するために必要な手続き

建設業許可

建設業を営む場合、軽微な工事を除いて建設業法に基づく許可が必要です。特に最近では元請業者からの取引条件として建設業許可の取得が求められるケースも増えています。そのため、一人親方として独立して仕事をしている方であっても、許可を取得することにより信用力が高まり、大きな工事を請け負えるなど業務拡大につながります。では、一人親方が建設業許可を取得するための要件と、具体的な手続きの流れをわかりやすく解説したく存じます。


1 建設業許可が必要になるケース

建設業許可が必要となるのは、次のような工事を元請・下請を問わず請け負う場合です。

  • 建築一式工事で 1,500万円以上(消費税含む) または 延べ面積150㎡以上の木造住宅新築工事
  • 建築一式工事以外の工事で 500万円以上(消費税含む)

一人親方であっても、契約金額が基準を超えれば必ず許可が必要です。また、元請業者から「許可がないと現場に入れない」と求められる場合も多いため、売上規模に関わらず取得を検討する価値があります。


2 一人親方が満たすべき建設業許可の4つの要件

建設業許可を取得するためには、次の4つの要件を満たす必要があります。


(1)経営業務の管理責任者(経管)がいること

一人親方の場合、自身が経管となるケースが一般的です。
要件は次のいずれかの経験が必要です。

  • 建設業の経営業務に5年以上従事した経験
  • もしくは、
    • 専任技術者としての経験5年
    • + 実務経験等で補える場合

「経営業務」とは、資金管理、取引決定、人事管理などの経営に関する業務を指します。実務経験の証明には、請負契約書、発注書、確定申告書、帳簿などが必要となります。一人親方として長年活動している方は、青色申告決算書や請求書の保存が非常に重要です。


(2)専任技術者がいること

専任技術者も多くの場合、申請者本人がなることが一般的です。種類は以下のいずれかで満たします。

  1. 資格要件(例:1・2級建築施工管理技士、電気工事士など)
  2. 10年以上の実務経験(業種ごとに必要)
  3. 一部の業種では 学歴+実務経験 の組み合わせで可

一人親方の場合は、10年の実務経験で取得するケースも多いです。ただし、契約書・注文書・写真・請求書などで経験を証明できることが必要です。


(3)500万円以上の財産的基礎があること

建設業許可は、一定の財務的安定性が求められます。一人親方でも例外ではありません。

次のいずれかで証明します。

  • 自己資本額が500万円以上
  • 500万円以上の預金残高証明書
  • 金融機関からの融資証明書(残高500万円以上)

最も一般的なのは「預金残高証明書の提出」です。
許可申請直前に入金しても証明自体は可能ですが、その資金の出所を問われるケースもあるため注意が必要です。


(4)欠格事由に該当しないこと

反社会的勢力との関係や、過去の建設業法違反、一定の犯罪歴、破産して免責未取得などに該当していないことが必要です。


3 建設業許可に必要な主な書類

個人(一人親方)の場合、法人より書類数は少ないものの、経験証明などで負担が大きくなることがあります。主な書類は以下の通りです。

  • 許可申請書一式
  • 経営業務管理責任者の証明書類
  • 専任技術者の資格証明または実務経験証明
  • 財産的基礎を証明する書類(残高証明など)
  • 身分証明書・登記されていないことの証明書
  • 確定申告書、決算書類
  • 工事経歴書(過去の工事内容を記載)
  • 事務所確認書類(写真・賃貸契約書など)

事務所要件は見落としがちですが、「机・パソコン・書庫・電話」等があり、かつ自宅と併用でも問題ありません。


4 申請の流れ

許可申請の一般的な流れは次のとおりです。

  1. 要件確認(経管・専任技術者・500万円の資金など)
  2. 事務所の整備・写真の準備
  3. 必要書類の取寄せ(身分証明書・登記されていないことの証明書等)
  4. 経歴・工事実績・契約書などの整理
  5. 申請書作成
  6. 都道府県への申請(一般建設業の場合は府知事)
  7. 審査(約30〜45日)
  8. 許可通知

5 一人親方が許可取得で気をつけるポイント

  • 経管・専任技術者を「同一人物」で問題はない
  • 実務経験の証明が最も時間がかかる
  • 税務書類を毎年保存しておくことが重要
  • 事務所写真は明確な「事務用スペース」とわかる必要あり
  • 社会保険加入が事実上求められるケースがある

また、許可後も毎年の「事業年度終了届」、5年ごとの更新が必要であり、継続的な管理が求められます。


6 行政書士に依頼するメリット

一人親方の場合、証明書類の整理や経験年数の裏付け作業が負担になることが多く、専門家に依頼することで手続きがスムーズになります。

  • 経歴整理、契約書の証明方法のアドバイス
  • 実務経験での許可取得の可否判断
  • 書類の収集代行
  • 事務所要件の確認
  • 審査で指摘されないよう正確な申請書を作成

元請業者から許可取得を求められている場合は時間が限られることが多く、専門家のサポートが非常に有効です。どうぞご連絡ください。サポートいたします。

行政書士辻澤孝文事務所」ホームページ

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