生活保護申請の手続きについて
生活保護制度は、経済的に困窮し、健康で文化的な最低限度の生活を維持することが困難な方に対して、国が生活を保障するための制度です。生活保護法に基づき、生活費や住宅費、医療費など、さまざまな扶助が支給されます。ここでは、生活保護の申請から決定までの手続きの流れを、できるだけ分かりやすくご説明いたします。

1.生活保護の対象となる方
生活保護を受けるためには、「生活に困っていること」が前提です。具体的には、働くことができる場合は就労に努め、それでも収入が生活保護基準を下回っているときに援助の対象となります。保有している預貯金、土地・建物、自動車などの資産を活用してもなお生活が困難である場合、また、親族などからの援助が受けられない場合に、生活保護が適用されます。
生活保護は、年齢や国籍に関係なく、日本に住所を有し、生活に困窮している方であれば誰でも申請することができます。高齢者、障がい者、病気療養中の方、ひとり親世帯、ホームレス状態の方など、さまざまな方が対象です。
2.生活保護申請の窓口
申請の窓口は、居住地を管轄する市区町村役所の「福祉事務所(保護課)」です。例えば大阪市鶴見区にお住まいの方は、「鶴見区保健福祉センター保健福祉課(生活支援)」が担当窓口になります。
役所には平日の開庁時間内に直接訪問して相談を行いますが、体調不良や高齢などで来所が難しい場合は、行政書士などの専門家が同行・代行して支援を行うことも可能です。
3.申請前の相談
まずは「生活に困っている」旨を窓口に伝え、職員との面談を行います。現在の収入や支出、家族構成、健康状態、住居の状況などを確認し、どのような支援が必要かを話し合います。
この段階では、生活保護以外の制度(年金、手当、就労支援、医療制度など)が利用できる場合は、そちらを優先するよう案内されることもあります。
4.申請書の提出
生活保護の申請は、「申請主義」に基づいて行われます。つまり、本人または代理人が「申請書」を提出して初めて手続きが開始されます。申請書は役所で受け取ることができますが、行政書士などの専門家が同行して記入を補助することも可能です。
申請書には、申請者本人の情報、家族の状況、資産・収入の有無、住居に関する事項などを記入します。本人確認書類(マイナンバーカードや保険証など)の提示も必要です。
5.必要書類の提出
申請に際しては、生活実態を確認するための各種書類が求められます。主なものは以下の通りです。
身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証など)
住民票
家賃支払い証明(賃貸契約書や家主の領収書など)
預貯金通帳(全口座・過去数か月分の記帳が必要)
健康保険証、年金証書
収入・支出の明細(給与明細、公共料金の請求書など)
これらの資料を基に、福祉事務所が世帯の生活状況を把握します。提出が難しい書類がある場合は、職員や行政書士が代わりに確認や照会を行うこともあります。
6.家庭訪問と調査
申請後、福祉事務所のケースワーカーが自宅を訪問し、生活実態の確認を行います。住居の環境、生活用品、健康状態などを見て、支給すべき扶助の内容を判断します。また、金融機関や年金機構などへの照会により、収入・資産の有無を確認します。
調査期間は通常2週間から1か月ほどです。その間も、急を要する場合(家賃滞納や食料がないなど)は「急迫保護」として、暫定的に支給が開始されることもあります。
7.保護の決定と支給
調査の結果、生活保護の要件を満たすと判断された場合、保護が決定されます。支給は原則として月単位で行われ、初回は申請月の分から支給されます。
生活保護費は、世帯の構成や地域によって基準額が定められており、「生活扶助」「住宅扶助」「医療扶助」「介護扶助」「教育扶助」「出産扶助」「生業扶助」「葬祭扶助」などの区分があります。
支給は銀行振込が一般的で、生活費のほか、医療費などは直接医療機関に支払われる仕組み(医療券制度)となっています。
8.保護の継続と義務
生活保護が開始された後も、収入の変動や家族構成の変更などがある場合は、必ず福祉事務所に報告する義務があります。就労可能な方には、就職活動や訓練を行うよう指導がなされます。
また、保護中に得た収入(アルバイト・年金・仕送りなど)は申告が必要です。これを怠ると、過誤払いや返還請求の対象となることがあります。
9.保護の停止・廃止
生活状況が改善し、保護基準を超える収入が得られるようになった場合は、生活保護は停止または廃止となります。
ただし、一度廃止となっても、再び生活に困った場合は、再申請が可能です。生活保護は「権利」であり、一時的に受けても決して恥ずかしいことではありません。
10.行政書士によるサポート
行政書士は、生活保護申請における書類作成や相談支援を通じて、申請者が円滑に手続きを進められるようお手伝いします。
「役所に行くのが不安」「何を準備すればよいか分からない」「家主や施設との調整が必要」といった場合も、行政書士が間に入ることで安心して申請ができます。
まとめ

生活保護申請は、制度上の手続きが多く、初めての方には難しく感じられるかもしれません。しかし、生活保護は憲法で保障された「生存権」に基づく大切な制度です。生活が苦しいときは一人で悩まず、まずは専門家や福祉事務所へ相談してください。
行政書士として、申請書類の作成から窓口同行まで丁寧にサポートし、安心して生活を再建できるようお手伝いいたします。
どうぞご相談お待ちしております。

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