「物上保証の場合、相続でも混同で消滅しない」というのは、民法の混同(民法179条、520条類推など)の例外の話です。少し整理して説明します。

1. まず「混同」とは何か
混同とは、ある権利とそれに対応する義務が同一人に帰属したとき、その権利が消滅することです。
典型例
AがBに100万円貸している(A=債権者、B=債務者)
↓
Aが死亡してBがAを相続した
↓
Bは「債務者」であると同時に「債権者」にもなる
↓
自分が自分に請求することはできない
→ 債権は混同により消滅
2. 物上保証とは
物上保証とは、他人の債務のために自分の財産に担保を設定することです。
例
- A(債務者)が銀行から借金
- B(物上保証人)が自分の土地に抵当権設定
つまり
- A=借金を返す人(主債務者)
- B=土地だけ担保提供した人(物上保証人)
3. なぜ相続でも混同で消えないのか
例で説明します。
- Aが銀行から1000万円借りる
- Bが自分の土地に抵当権を設定(物上保証)
- Bが死亡し、AがBを相続した
するとAは
- 主債務者(1000万円返す立場)
- 物上保証人の土地の所有者
両方の立場になります。
一見すると
「同じ人になったから抵当権消えるのでは?」
と思います。
しかし 消えません。
理由は
抵当権者はあくまで 銀行 だからです。
権利関係は
- 銀行 → 債権者・抵当権者
- A → 債務者 + 土地所有者
銀行の権利は同一人に帰属していません。
したがって 混同は起こらない。
4. なぜ条文上例外扱いなのか
仮に抵当権が消えると、銀行が担保を失ってしまいます。
民法では第三者(銀行)の利益を害する場合は混同で消滅させません。
考え方
「混同によって担保権が消えると抵当権者が困る」
↓
第三者保護
↓
抵当権は消滅しない
ポイント
区別してください。
① 債権者と債務者が同一人になる
→ 原則、混同で消滅
② 主債務者が物上保証人を相続する
→ 抵当権は消滅しない
③ 抵当権者が所有権を取得する
→ 原則混同だが、後順位抵当権者など第三者がいれば消滅しない
相続でお困りの方は是非ご相談ください。

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