現在,成年後見制度の大きな見直しが法制審議会で議論されており、「後見・保佐・補助」という従来の3類型を廃止し、原則として「補助人」に一本化する方向性が示されています。これは制度の柔軟性・使いやすさを高めるための抜本的な改革案です(要綱案の内容として報道されています)。
📌 背景:現行制度の課題
現行の成年後見制度(法定後見制度)は、判断能力の程度に応じて:
- 成年後見(判断能力が著しく不十分な場合)
- 保佐(判断能力がやや不十分な場合)
- 補助(判断能力の一部が不十分な場合)
という3つの類型(カテゴリー)があります。これらは法律(民法)で規定されており、家庭裁判所が本人の判断能力やニーズをみて選びます。
しかし実務上、次のような問題点が長年指摘されてきました:
- 包括的な権限になりがちで、本人の自己決定権が必要以上に制約されてしまう。
- 制度利用を開始すると、判断能力が回復しても基本的には終身的に継続される。
- 申立て類型ごとに権限や役割が固定的で、利用者の意図や状況に応じた柔軟な支援設計が困難。
📌 法制審議会の要綱案のポイント(制度改革の方向性)
法務省の法制審議会・民法(成年後見等関係)部会が取りまとめた要綱案では、次のような大枠改革が議論されています:
✅ 1. 3類型の一本化(「補助」に統一)
- 現行の 後見・保佐・補助という3つの類型を廃止し、原則として **すべて「補助人」**による支援体系に統一。
- 個々人の判断能力や支援ニーズに応じて、家庭裁判所が どの行為についてどの程度代理権を付与するかを個別に決定する方式へ。
→ 「一括的・包括的な後見人制度」から、オーダーメイド型の支援設計へ転換する狙い。
✅ 2. 権限の限定と設計の柔軟化
- 代理権・同意権・取消権などの付与は、個別行為について家庭裁判所が必要性を判断して限定付与。
- 判断能力の程度に応じて柔軟に権限を設定できるため、本人の意思と生活状況に応じた支援設計が可能に。
✅ 3. 制度の終了(出口)の整備
- 現行制度で一般的だった 「終身制」(開始後は原則として継続)は見直し対象に。
- 支援が不要になった時点で終了できる仕組みや、付与した権限の終了・調整が可能な道を整備する案が議論されている。
✅ 4. 解任・交代の運用の明確化
- 新たな制度では、補助人(支援者)の解任事由・交代理由についても明確な基準設計が想定されており、本人の利益を損なう場合に家庭裁判所でより柔軟に対応できる方向です。
📌 なぜこの見直しが進められているのか
主に次のような背景があります:
📍 利用の低調
- 高齢化が進む一方で、成年後見制度の利用件数は予想より低く、利用率の改善が課題とされています。
📍 利用者の多様なニーズに対応
- 現行制度は包括的すぎる支援体系で、軽度の判断能力低下に対しても本格的な後見制度を適用しなければならない面があり、利用者のニーズとのミスマッチが指摘されています。
📍 自己決定尊重の観点
- 「本人の意思を最大限尊重する」「必要な支援のみを付与する」という理念を制度設計に反映させる方向への転換が主眼です。
📌 今後の流れ
現在議論されているのは要綱案の段階であり、これを基に法改正法案が国会に提出され、成立・施行される可能性が検討されています。2026年度以降の民法等改正を目指す動きが報じられています。
🧠 要点まとめ
| 項目 | 現行制度 | 要綱案(改革方向) |
|---|---|---|
| 類型 | 後見・保佐・補助(3類型) | 補助に一本化(個別設計) |
| 代理権付与 | 包括的 | 行為ごとに限定・柔軟 |
| 終了 | 原則終身 | 必要なくなれば終了可能 |
| 主眼 | 保護重視 | 自己決定尊重・柔軟支援 |
当事務所は、成年後見制度・任意後見制度に関するご相談にも対応しています。
判断能力の低下に備える制度は、まだ十分に知られているとは言えませんが、早めに知っておくことで、ご本人やご家族の安心につながります。制度の違いや利用のタイミング、手続きの流れをわかりやすく説明し、それぞれのご家庭に適した選択ができるようサポートします。
当事務所は、「難しいことをわかりやすく」「不安を安心に変える」ことを大切にしています。行政手続きでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。行政書士として、皆さまの暮らしと事業を、誠実にサポートいたします。

↓
「行政書士辻澤孝文事務所」ホームページ

コメント