表見代理の第三者が悪意の場合第三者からの転得者が善意でも保護されないか

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表見代理の第三者が悪意の場合第三者からの転得者が善意でも保護されないか

はい、原則として保護されません。

表見代理(民法109条・110条・112条)は、取引の相手方である第三者が善意・無過失であることが要件です。

例えば、

  • 本人A
  • 表見代理人B
  • 第三者C
  • 転得者D

という関係で、

A ← B(表見代理)→ C → D

となっている場合、

Cが悪意(無権代理であることを知っていた)又は有過失であれば、表見代理は成立しません。

そして、Cが本人Aに対して権利を取得していない以上、

「誰も自分の持っていない権利を他人に移転できない」

という原則(Nemo dat quod non habet)により、Dが善意であっても原則として権利を取得できません。

具体例

Aの土地について、Bが無権限なのに表見代理人を装ってCへ売却した。

  • Cは「Bに代理権がない」と知っていた(悪意)。
  • その後、CがDへ転売。
  • Dは事情を知らない(善意)。

この場合、Cの段階で表見代理は成立しないため、Dも原則としてAに対抗できません。

ポイント

表見代理の善意・無過失は、

「最初の取引の相手方(第三者)」について判断する

のであって、

転得者が善意であっても、最初の第三者が悪意であれば表見代理は成立しない

と理解しておくと整理しやすいです。


「第三者が悪意 → 転得者が善意」
という事例で、転得者は保護されないという結論が問われることがあります。

仮装譲渡の場合の第三者が悪意でも転得者が善意なら保護されるか?

はい、民法94条2項の虚偽表示(通謀虚偽表示)による仮装譲渡の場合は、表見代理とは結論が異なります。

事例

  • A(真の所有者)
  • B(仮装の譲受人)
  • C(第三者)
  • D(転得者)

AとBが通謀して、Bが所有者であるかのような仮装譲渡をした。

その後、

A → B(仮装譲渡)→ C(悪意)→ D(善意)

となった場合です。

結論

D(転得者)が善意であれば保護されます。

判例・通説は、

転得者は前主たる第三者が悪意であっても、自らが善意であれば94条2項類推適用により保護される

としています。

なぜか

94条2項は、

虚偽の外観を作り出した者は、その外観を信頼した善意の第三者に対抗できない

という制度です。

そのため、外観を信頼した最終取得者Dが善意であれば保護するのが制度趣旨に合致すると考えられています。

表見代理との比較

表見代理仮装譲渡(94条2項)
最初の第三者が悪意表見代理不成立保護されない
転得者が善意原則保護されない保護される
理由最初の取引時に要件欠缺外観法理により善意転得者を保護

したがって、行政書士試験では

  • 表見代理:第三者悪意 → 善意の転得者も保護されない
  • 94条2項の仮装譲渡:第三者悪意 → 善意の転得者は保護される

という違いを押さえておくことが重要です。

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