結論から申し上げますと、公正証書遺言であっても、相続人の「遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)」を完全に阻止することはできません。
以下、行政書士業務でもよく問われる点を中心に、実務的に整理してご説明します。

1. 公正証書遺言でも遺留分は守られる
遺留分は、民法で保障された相続人の最低限の取り分であり、
遺言の方式(自筆証書・公正証書)に関係なく認められます。
つまり、
- 「全財産を長男に相続させる」
- 「特定の相続人には一切相続させない」
といった内容を公正証書遺言で作成しても、
遺留分権利者(配偶者・子・直系尊属)は、遺留分侵害額請求を行うことができます。
2. 「遺留分減殺請求」は現在「遺留分侵害額請求」
平成30年(2018年)民法改正により、現在は
- ❌ 遺留分減殺請求(物の返還請求)
- ⭕ 遺留分侵害額請求(金銭請求)
に変更されています。
そのため、遺言の内容自体が無効になるわけではなく、
金銭での清算が原則となっています。
3. 遺留分侵害額請求を「完全に防ぐ」方法はない
次のような記載をしても、法的拘束力はありません。
- 「遺留分の請求をしないこと」
- 「本遺言に異議を述べないこと」
- 「遺留分侵害額請求を禁止する」
➡ これらは道義的・心理的効果にとどまり、請求権自体は消滅しません。
4. 実務上「請求されにくくする」工夫は可能
完全な阻止はできませんが、紛争を抑制する実務的対策は可能です。
① 遺留分相当額の財産をあらかじめ配分
- 遺留分権利者に対し、最低限の財産を遺言で与える
- 不満が生じにくく、請求の動機を減らせる
② 付言事項で理由を丁寧に説明
- 特定の相続分に差をつけた理由
- 生前の援助・介護・事業承継等の事情
➡ 法的効力はありませんが、感情的対立を和らげる効果があります。
③ 生前贈与・生命保険の活用
- 生命保険金は原則として遺産分割の対象外
- 受取人を指定することで資金確保が可能
※ただし、著しく遺留分を侵害する場合は争いの余地あり
④ 遺留分放棄(家庭裁判所の許可が必要)
- 被相続人の生前に限り可能
- 家庭裁判所の許可が必須(民法1049条)
- 相続開始後の「放棄の約束」は無効
➡ 実務上はハードルが高いが、唯一「事前に消滅させられる方法」
5. 行政書士としての関与ポイント
先生(大阪市鶴見区の行政書士)のお立場では、次の支援が現実的です。
- 公正証書遺言の文案作成・構成助言
- 遺留分を踏まえた相続設計の整理
- 付言事項の表現調整による紛争予防
- 公証役場との事前調整資料作成
※遺留分侵害額請求そのものの代理交渉は弁護士業務となります。
6. まとめ(結論)
- ✅ 公正証書遺言でも遺留分侵害額請求は可能
- ❌ 遺留分請求を完全に阻止することはできない
- ⭕ 事前対策により「請求されにくくする」ことは可能
- ⭕ 生前の遺留分放棄(家庭裁判所許可)が唯一の例外
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