間借りで飲食店を経営する

飲食店営業許可申請

間借りで飲食店を経営する場合、通常の店舗営業と比べて手続きや注意点がいくつか異なります。特に、営業許可の名義、設備の共有、賃貸契約の内容などが重要になります。以下では、行政書士としてサポートできる内容も含め、間借り営業の手続きを詳しくご説明します。

■ 間借り営業とは

「間借り営業」とは、他人が所有・使用している飲食店の一部スペースや、営業時間外の時間帯を借りて自分の店を営業する形態です。例えば、昼はカフェ営業、夜は別の人がバーとして営業するケースなどが典型です。初期費用を抑えて独立できる点が魅力ですが、保健所の営業許可上は慎重な対応が必要です。

■ 営業許可の考え方

飲食店営業を行うためには、食品衛生法に基づく営業許可を保健所から取得しなければなりません。
間借りの場合、以下の2つのケースに分かれます。

1. 施設の一部を完全に区分して独自に使用する場合
 調理場・シンク・冷蔵庫などが独立しており、他の営業者と設備を共有しない形なら、通常の店舗営業と同じように独自の営業許可を取得できます。
 ただし、貸主側(本店の営業者)の許可証とは別に新たな許可申請が必要です。

2. 設備を共有し、時間帯で使い分ける場合(シェアキッチン型)
 この場合、施設全体が一つの営業許可を持っており、営業許可の名義を共有することはできません。
 したがって、時間貸し形式では、施設管理者(本店側)が「営業許可者」となり、間借り側はその施設を借りて営業する個人事業者という立場になります。
 自分名義の営業許可が必要な場合は、設備区分を明確にして新規に許可を取る必要があります。

■ 契約と税務面での注意

間借りでは、「賃貸契約書」または「使用許諾契約書」をきちんと作成することが大切です。
内容には、

使用時間・使用範囲

設備の共有ルール

清掃・衛生管理の責任分担

原状回復義務

火災・事故時の責任所在
などを明確にしておく必要があります。

また、開業届・飲食店営業許可・食品衛生責任者資格などは通常どおり必要です。間借りであっても、自らの屋号で営業するなら個人事業主としての届出を税務署に行う義務があります。

■ 行政書士ができるサポート

行政書士としては、以下のような支援が可能です。

賃貸(使用)契約書の作成・確認
 貸主・借主双方のリスクを防ぐ契約文案の作成。

営業許可申請の代理・書類作成
 保健所への申請書、施設図面、食品衛生責任者資格証など、書類一式を整備。
 間借りの場合の「設備共有」可否や「区分の明確化」について、保健所との事前協議をサポート。

事業計画・開業届等のサポート
 開業届、青色申告承認申請書などの税務関係書類の整備を支援。

契約トラブル防止のための助言
 使用時間超過や衛生責任をめぐるトラブルは多く、法的観点からのリスク回避策をアドバイス。

■ まとめ

間借り営業は、低コストで独立できる有効な手段ですが、営業許可や契約の取り扱いを誤ると、無許可営業となるおそれもあります。特に、設備を共有する場合は保健所への確認が必須です。行政書士としては、契約・許可・法的リスクの3点からしっかりとサポートし、安心して飲食事業をスタートできる体制づくりをお手伝いできます。

行政書士辻澤孝文事務所」ホームページ

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