
まず前提として、株式会社が第三者に株式を渡す方法は大きく2つあります。
① 新株発行(募集株式の発行)
② 自己株式の処分(会社が持っている自社株を渡す)
今回は 自己株式を交付して払込みを受ける場合 の考察です。
1. 通常の新株発行の場合
例えば会社が新しく100株発行し、1株1万円で募集するとします。
- 払込金額 → 100万円
会社法445条では原則として
- 資本金50万円以上
- 残りは資本準備金でもよい
つまり
- 資本金50万円
- 資本準備金50万円
などにできます。
なぜか?
→ 新たに株式が発行され、会社に新しい資産100万円が入るからです。
会社の純資産は100万円増えます。
2. 自己株式を交付する場合
例えば過去に会社が自己株式100株を取得していたとします。
(以前、会社が株主から100万円払って買い戻した)
その時点で会計上は
- 現金100万円減少
- 自己株式100万円計上
となっています。
その後、その自己株式を第三者に1株1万円、100万円で交付したとします。
会社は再び100万円受け取ります。
3. なぜ資本金は増えないのか
ここがポイントです。
自己株式は 過去に既に発行済みの株式 です。
新しく株式が生まれるわけではありません。
つまり
- 発行済株式総数は変わらない
- 既に資本計上された株式を再利用しているだけ
過去を整理すると
最初(株式発行時)
会社が100万円受領
→ 資本金100万円計上(または50万円+準備金)
後で自己株式取得
会社が株主に100万円払う
→ 自己株式として処理
再度処分
第三者から100万円受け取る
→ 以前減少した純資産が戻るだけ
「新たな資本の増加」ではない
4. イメージ図
最初の発行
会社
+100万円現金
+資本金100万円
↓
自己株式取得
会社
−100万円現金
+自己株式100万円(控除項目)
↓
再処分
会社
+100万円現金
−自己株式100万円消滅
結果
「元に戻っただけ」
新しい資本形成ではありません。
5. 会社法上の処理
会社法第445条 では
新株発行の場合
→ 払込額の2分の1以上を資本金
しかし自己株式処分では
→ 既に過去に資本計上済み
したがって
払込みを受けた額をそのまま資本金増加にできない
差額は通常
- その他資本剰余金
として処理されます。
6. ポイント
整理すると
| 場面 | 資本金増加 |
|---|---|
| 新株発行 | 増加する |
| 自己株式処分 | 増加しない |
| 理由 | 過去に既に資本計上済み |
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