建設業許可における「専任技術者(現行制度では「営業所技術者等」)」の要件緩和について、制度改正の背景・内容・実務への影響を整理して説明します。

1. 制度変更の背景
建設業界では
- 技術者の高齢化
- 若手人材の不足
- 実務経験はあるが資格要件を満たさない人材が多い
といった課題が深刻化していました。
これを受け、国土交通省は建設業法施行規則等を改正し、専任技術者要件の柔軟化(緩和)を段階的に実施しています。
2. 用語変更(前提)
まず重要な前提として、
「専任技術者」→「営業所技術者等」
に名称変更されています(令和5年改正)。
※ 実務上は従来と同じく「営業所ごとに常勤で配置する技術者」という理解で差し支えありません。
3. 主な要件緩和の内容
① 実務経験の評価方法の緩和
従来
- 許可を受けようとする業種と完全に一致する実務経験が必要
- 経験の幅が狭く評価されがち
改正後
- 関連性のある工事経験を幅広く評価
- 一部の業種では
- 類似工種
- 一体不可分の工事
も実務経験として算入可能
👉 実務経験証明が通りやすくなっています。
② 学歴+実務経験の要件緩和
| 学歴 | 従来 | 緩和後 |
|---|---|---|
| 指定学科卒(大学) | 実務3年 | 原則維持(運用柔軟化) |
| 指定学科卒(高専・高校) | 実務5年 | 実務内容の評価範囲拡大 |
※ 「指定学科」該当性の判断が柔軟化され、カリキュラム全体で判断される傾向があります。
③ 資格を持たないベテラン技術者の救済
- 国家資格がなくても
- 10年以上の実務経験があれば営業所技術者等として認められる原則は維持
- そのうえで
- 経験内容の立証方法
- 工事内容の関連性
について、行政庁の判断が実務寄りになっています。
④ 複数業種対応の考え方の整理(実務上重要)
- 1人の技術者で
- 複数業種の営業所技術者等
になるケースについて、
- 複数業種の営業所技術者等
「経験・資格の組み合わせ」による認定がしやすくなったのが実務的な緩和点です。
4. 変わっていない点(注意)
誤解されやすい点ですが、次の点は緩和されていません。
- 営業所ごとの配置義務
- 常勤性(他社兼務不可が原則)
- 許可業種ごとの技術的裏付け
👉 「誰でもなれる」制度ではない点は依然として重要です。
5. 実務への影響(行政書士視点)
行政書士実務では、次の点がポイントになります。
- 実務経験証明書の書き方がより重要
- 工事内容の「業種適合性」の説明力が問われる
- 過去に「不可」とされた人材が再検討対象になるケース増加
特に、
以前は要件不足で諦めた事業者の掘り起こし
が可能になっているのが大きな変化です。
6. まとめ(簡潔)
- 人材不足対応のため、営業所技術者等の要件は実質的に緩和
- 実務経験の評価範囲が拡大
- 学歴・資格の解釈が柔軟化
- ただし配置義務や常勤性は維持

建設業許可申請等是非ご相談ください
↓
「行政書士辻澤孝文事務所」ホームページ


コメント