農地転用手続きと行政書士業務
〜行政書士が果たす役割と実務の流れ〜
農地は、農業生産を確保するために「農地法」によって厳格に利用が規制されている土地です。宅地や駐車場、資材置場など、農地以外の用途に利用する場合には、原則として農地転用許可や届出が必要となります。しかし、転用に関する手続きは多くの書類作成・調査・関係機関との調整を伴い、一般の方が単独で進めるには非常に煩雑です。ここに行政書士の専門性が求められます。

1 農地転用とは
農地転用とは、「農地を農地以外の用途に供する行為」をいいます。例えば宅地造成、駐車場への変更、資材置場の設置、太陽光発電設備の設置などが典型例です。
農地法では、転用の目的や主体に応じて手続きが分類されており、主に次の三つに分けられます。
(1)農地法第4条(農地所有者による転用)
自己所有の農地を自らが非農地として利用する場合に必要です。
例:農家が自宅を建てるために農地を宅地化するケース。
(2)農地法第5条(権利移転を伴う転用)
譲渡や賃貸借など、第三者への権利の移転を伴いつつ転用する場合に適用されます。
例:不動産会社が農地を購入して宅地分譲するケース。
(3)農地法第3条(権利設定・移転そのものの許可)
転用は伴わず、農地として利用するために権利移転を行う場合です。
主として農業従事者間の売買や賃貸借の際に必要となります。
農地転用が必要かどうかの判断は、地目ではなく実際の利用状況で判断される点も重要です。登記簿が「田」「畑」でなくても、現に農地として利用されていれば農地法の規制対象になります。
2 農地転用の流れ
農地転用の申請は、原則として市町村の農業委員会が窓口となります。その後、都道府県または農林水産大臣の許可が必要となるケースがあります(市街化区域内農地は届出制)。
一般的な流れは以下のとおりです。
- 事前相談・調査
農業委員会、市町村役場、都市計画課などに事前相談を行い、転用が可能かどうかを確認します。特に都市計画区域内外、市街化区域・調整区域の区別が重要で、調整区域では許可取得が極めて厳格です。 - 現地調査
土地の現況(耕作状況、接道の有無、排水経路、周辺環境など)を確認します。また、権利関係の調査、公図・地積測量図・登記簿の確認も必要です。 - 必要書類の準備
申請書、位置図、実測図、平面図、資金計画書、事業計画書、誓約書、近隣地権者の同意書など、転用の内容に応じて多くの添付書類が求められます。 - 農業委員会の審査
形式審査・現地確認が行われ、問題がなければ上位機関へ送付されます。 - 都道府県知事(または農林水産大臣)による許可
許可が下りると、用途変更に向けた工事が可能になります。 - 工事着手・完了報告
許可内容に従い工事を進め、完了後には報告書を提出する場合があります。
3 行政書士が関与できる業務
農地転用手続きは、行政書士が最も得意とする分野の一つです。特に、土地関係の調査・書類作成・官公庁協議など、多岐にわたる業務をサポートできます。
(1)事前調査・可能性判断
農地転用は「申請しても絶対に許可されるものではない」ため、事前調査が重要です。
行政書士は、都市計画法・農振法(農用地区域)・開発許可制度なども踏まえて、転用が可能かどうかの見通しを示すことができます。
(2)必要書類の作成
農地転用申請には多くの書類作成が必要です。特に、事業計画書・資金計画書・転用理由書は専門性を要し、行政書士の腕の見せどころです。
また、図面類の作成や添付書類の収集も代行できます。
(3)関係機関との折衝
農業委員会、都市計画課、建築指導課、道路管理者、水利組合など、多くの関係者との調整を行政書士が代行します。
住民同意が求められる場合、近隣調整を行うこともあります。
(4)許可後のフォロー
許可取得後も、工事着手届や完了届、利用状況報告などが必要なケースがあります。これらの提出も行政書士がサポートします。
(5)開発行為との一体処理
農地転用と同時に、都市計画法の開発許可が必要となるケースも少なくありません。行政書士は土地利用全体の枠組みを把握し、必要手続きを総合的に検討できます。
4 行政書士を利用するメリット
行政書士を活用することで、以下のメリットがあります。
- 申請の可否を早期に判断できる
無駄な手続きや計画変更を回避できます。 - 書類の不備を防げる
農地転用は一度不許可になると再申請まで時間がかかるため、正確な書類作成が重要です。 - 関係機関との調整を任せられる
個人では難しい行政調整をスムーズに進められます。 - 不動産取引・相続手続きとセットで対応できる
相続した農地の処分、売買契約書作成、相続人調査なども合わせて支援できます。
5 まとめ
農地転用は、農業振興と土地利用調整の観点から複雑な規制が設けられており、適切な調査・書類作成・行政協議が欠かせません。行政書士は、これらの手続きを一貫してサポートできる専門家として大きな役割を果たします。計画段階から相談し、地域の土地規制や許可の可否を早期に把握することで、スムーズな転用手続きにつながります。
行政書士の関与は、依頼者の時間と労力を大きく軽減し、確実な許可取得への近道となります。
どうぞご連絡お待ちしております。

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